「学びの共同体」ブログ

学びの共同体

北中学校の研修に参加させていただきました

1月30日(火)川口市立北中学校で「学びの共同体」の公開研究会が開かれました。

焦点授業は3学年の美術で3年間の集大成と言える内容でした。

写真で提示されるいくつもの作品から「芸術とは何か?」を考える難しい課題でしたが、生徒たちはじっくりと考え、自分なりの答えを表現し、共有し合っていました。

授業の具体的な実践例と、生徒が学ぶ姿を見とる視点を示してくださった北中学校の先生方、ありがとうございました。

 

3学年『児の飴食いたること』を読み解く

3学年国語 古文の授業で「沙石集 『児の飴食ひたること』」をグループで協力して読み解く課題に挑戦しました。

古語で書かれた原文だけが示され、その文中にある「この児さめほろと泣く」というこの児の涙は何か?という問い。

選択肢は4つ。① うれし泣き ② うそ泣き ③ もらい泣き ④ 悔し泣き

理由も添えて答えなければいけません。あらすじもまとめます。

この課題自体も大変興味深く、生徒たちは一生懸命に読み解こうとしているのですが、私が感心したのはこの授業の導入です。

室町時代に集められた なぞなぞが3問 出題されます。生徒たちは なぞなぞを解こうと様々に思考することで、歴史的仮名遣いが読める、書かれた内容をある程度理解できる、といった「古文を読み解くウオーミングアップ」をごく自然に行います。そして、先述の課題へ。見事な流れです。

生徒が課題にいきいきと取り組むためには導入の力が大きいことを改めて感じました。

 

 タブレットで検索し、あらすじを確認しました。

考えを補い合う数学

3学年の数学の授業から。

相似な図形の性質を使って、様々な図形の辺の長さを求める授業です。

コツコツと自分一人で問題に向き合う生徒、同じグループの友だちの力を借りて進める生徒。課題の進め方は様々です。

多くのグループで、生徒同士が話し合い、既習内容を確認しながら教科書の問題を解いていきます。「この線分が平行だから、こことここの辺の長さの比は同じでしょ?」「この線分を平行にずらしていけば、ここに三角形ができるから、さっきの考え方と同じじゃない?」など、お互いの知識と考えを補い合うことで新しい気づきが生まれ、答えを導き出すことができたグループが多くありました。

しかし残念なことに、生徒の中には友達から「ヒントをもらって気づく」のではなく、単に「解き方を教わってしまった」人もいたようです。そのため、次の課題に移った時に、今 学んだばかりの既習内容を活かすことができないということも。今後はそのあたりも指導の工夫と改善が必要なようです。

  

 

 

3年生の理科がおもしろい!

3学年 理科の授業。4人の小グループで話し合っていた内容がとても興味深い。

黒板には生態ピラミッドの図。いわゆる「食物連鎖」について学んでいるのでしょう。

ピラミッドは下から「C 植物」「B 草食動物」「A 肉食動物」の三層。

その中間に位置する「草食動物」が増えたら生態系はどうなるか?という課題についてグループで話し合っていました。

どのグループも様々なケースを想定し、いろいろな意見を出し合っています。

「Bが増えたらCは食べられて減るよね?」

「そうしたら、そのうちBが食べ物が無くなって減るよね?」

「だったら、Aだけが残る?」

「Bが減ればAだって減るでしょ? 食べるものが無くなるんだから。」

「A同士って、お互いに食おうとする?」

「おぉ。それな!」

「はい! 絶滅ぅ~!」

「Bがいなくなったら食べられないから、Cってまた増えないの?」

「おぉ。あり得る!」

「えぇぇ。わかんない。どうなるのぉ~?」

  

さあ、どうなるのでしょう。

生徒全員一人残らず思考する、とても良い授業でした。

「正しくおしゃべり」する

1学年のある授業を訪問した際、いつもおしゃべりが多い生徒Aさんが静かに座っている。どうやら、校長が教室に入ってきたことで緊張しているらしい。本人曰く、いつもおしゃべりしてしまうのは『わからないから』とのこと。

『わからないから おしゃべりする』 このことを「ダメだ」と禁じない。

ただし、《 正しくおしゃべり 》すること。

わからない・できないからといって関係のないおしゃべりが始まるのはいけませんが、「わからない」「どうやるの」「教えて」「どうして そうなるの」・・・。このようなワードはむしろ積極的に発せられるべきです。

教科書の問題を解くように指示されたAさんは、「わかりません」「どうやってやるんですか」という言葉を自分から発することができました・・・、先生に向かって。

残念! せっかく4人の小グループで授業を受けているのだから、そこはグループの仲間に向かって言って欲しかった。

しかし、次の課題に移った際には、近くに先生の姿がなかったこともあってAさんはグループ内の仲間に「わかんない」「どうやってやるの?」と声をかけました。

正しいワードを、正しい相手に向けて発した《 正しいおしゃべり 》です。

教える側の生徒も、単に答えを伝えてしまうのではなく「ここが もしこうだったら、ここはどうなる?」と、とても上手に考え方を伝えています。素晴らしい。

Aさんは「わかったぁ」と喜び過ぎて早とちりしてしまい、答えは違ってしまいましたが、どうすれば「わかったぁ」にたどり着けるのか。その方法には気づけたのではないでしょうか?